最近は寒暖差が大きく、体調管理が難しいとよく耳にしますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
この間ある動画を見ました。
その動画は、ある海外のカップルが洗面台の鏡の前に並んで立っていまして、女性は脱毛症といってだんだん髪の毛が抜けていく病気でして、少しずつ抜けていく髪の毛を整えるために覚悟を決めて男性にバリカンで剃ってもらう時の動画でした。
大きな鏡の前で2人並んで動画を回し、男性は女性の髪の毛を丁寧に丁寧に剃っていきます。
横、後ろと少しずつ坊主頭になっていくにつれて、覚悟を決めたとはいえ女性は辛そうな表情に。ついに頭のてっぺんの最後の髪の毛を剃り終えました。
女性は坊主頭になった自分の姿を見ることができないのか鏡から目を逸らしてしまいます。しばらくうつむき、顔をあげることができません。
すると女性の髪の毛を剃り終えた男性は、そのバリカンを今度は自分の頭に当て、なんと自分も同じように髪の毛を剃り始めたんですね。
最初はうつむいていて気がつかなかった女性もふと顔を上げ、その男性の姿を見ると驚き、顔に手を当て大粒の涙を流し、泣き崩れてしまいました。
女性が男性の顔を覗き込むと、男性は女性を無言でそっと抱き寄せ、そしてまた剃り始めます。
最後は男性も坊主頭になり、鏡の前で2人が並び、再び熱く抱き合ったという動画でした。
時間にするとたった数分の動画でした。
彼がどういう思いでこのような行動をしたのか。それはこの動画からだけでは分かりません。
けれども、おそらく病によって髪の毛を失う、病に苦しんでいる彼女の姿を見てそのままにできなかったのでしょう。
男性が寄り添う方法は何通りもあったと思います。病気を治す薬、また髪の毛が生えてくるような薬が出るのを待ったり、かつら、ウィックをつけたりと方法はいろいろあったかもしれません。
しかし彼にとってはそれじゃダメだった。自分も彼女と同じ姿になることで、彼女がひとりで苦しみ、ひとりで辛い思いをしないようにという彼なりの彼女に対する思いがあったんじゃないかなと思います。
これは男女の間の話かもしれません。
けれども浄土真宗の御本尊の阿弥陀さまはひとり苦しみ悩みを抱えている私を放っておくことができず、その苦しみを我が苦しみとして受け止めてくださる仏さまです。
このことを「お慈悲」と言います。
この娑婆の世界に生まれ、悩みや苦しみを耐え忍んで耐え忍んで生きている私は、まるでひとり広い真っ暗な海の中に沈んでいるようなものです。
そんな私を阿弥陀さまは放っておくことができず、罪を告げるのではなく、条件をつけるのでもなく、私を私のままで救ってくださいます。
「あなたの苦しみは私の苦しみ」と言っていつもご一緒してくださいます阿弥陀さま、有難いですね。
南無阿弥陀仏