人の悪き事はよくよく見ゆるなり わが身の悪き事は覚えざるものなり

お話

このお言葉は浄土真宗の中興ちゅうこうの祖と言われる蓮如れんにょ上人のお言葉です。

よくよく振り返ってみれば、私たちというのはどこまでも自己中心的で、「自分だけが特別だ」と思って過ごしていませんか?

他人の欠点やミスばかりが目につきますけれども、自分の欠点やミスには気づかない。

それどころか、「自分はいつでも正しい」と思っています。

自分が不利になった時、または苦境に立たされたりした時に、自分のことは棚に上げて相手を責めてしまう。あるいは、口には出さないがこころの中で思ってしまう。

自分の悪いところは見ようともしないというのが私たちの姿ではないでしょうか。

私も毎日反省です。

自分の気に食わない事に対しては、「なんで自分だけ」、「そういうあんたはどうやねん」と自分には非がないかのように考えてしまいます。

どこまでも「自分は」というこころを消すことができません。

人間の目は外に向いてついているので、どうしても原因を外から探そうとしています。自分の目に見えないのは自分自身の姿です。

毎日の生活の中で、外しか見ていなかった私が、自分自身に向き合うことができるのは、阿弥陀さまの前であったり、お聴聞しているときじゃないかなと思います。

日々忙しく過ごされているかもしれませんが、たまには自分の愚かさに正面から向き合ってみませんか?

わかった「つもり」、できている「つもり」の「つもり」にも向き合ってみる。

他人の欠点ではなく、いいところを探して、言葉にして伝える。

時々でいいので、自分の足元を見つめ直す、そんな時間というのはとても大切な時間だと思います。

南無阿弥陀仏