お寺には山門に伝道掲示板があります。近所の方は前を通る時に見られるかもしれませんが、そうでない方はなかなか見る機会がないかなと思うので、少し解説も含めて紹介させていただきます。
掲示板には、仏教の言葉を引用したり、教えに基づいた言葉が書かれています。言葉を通して、共に自分だけでは気づかなかったことや、忘れていたことに気づかせていただきたいと思います。
今回の言葉は、
「いい友だちがいれば、だいじょうぶ」
です。
お釈迦さまのお言葉を詩句の形で編集された原始経典の一つの『ダンマパダ(法句経)』というお経があります。ダンマパダ(Dhammapada)というのは「真理のことば」という意味です。
そこには「ことが起こったとき、友があるのは楽しい」とあります。
日々の暮らしの中で何か困ったことがあった時、友人がいてくれることのありがたさを感じます。話を聞いてくれたり、支えになってくれたり、何も言わずにただただ寄り添ってくれたり。何度も何度も支えられ、すごくありがたく、また心強い存在です。
「楽しい」というのはどういうことでしょうか。原文はパーリ語という言葉で「sukha」と書かれています。これは日本語でいうと「苦楽」の楽、つまり苦に対する「楽」です。なかなか今の言葉にするのは難しいですけど、「安楽」と言われることもあります。
「楽しい」といいますと、気持ちよく明るい気分になるイメージですが、今回の意味では「心の平和」といった意味でしょう。
何か困ったことがあった時、共に悩み寄り添ってくれる友がいることは、自分の心の平和になるのではないでしょうか。
逆にそんな友だちが困っている時は、私の方から寄り添う。そういう関係が本当の友ではないでしょうか。
友人だけでなく、家族や先輩、後輩、お互いに支え合えるような人を大切にしていきたいですね。
南無阿弥陀仏